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的に沖へと押し出すフラッシュ効果を期待した曲線型で、水深が浅く底泥の巻き上げが大きい岸側の潜堤の高さを1.0mから1.5mへ高くした配置であり、本工事ではこのケースを基本とした。

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図−10 ブロック別埋没高さ

Fig-10. Deposition height by block

(4)潜場の航路埋没防止効果に関する実証試験
潜堤の構造は経済性、施工性を勘案し、図−11に示す逆T型のコンクリートブロック構造とし、各ブロック間の隙間には目地版を施工して不透過とした。そして平成3年度より、浮泥流動状況の計測、航路・泊地の埋没量の計測、潜堤の安定性の観測、底泥の物理特性の計測等を実施し、その後も埋没量の追跡調査を行っている。

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図−11 潜堤ブロック

Fig-11. Submerged dike block

平成3年8月台風12号時において、−2m付近の南側潜堤内外における浮泥の流動状況を観測した。図−12にSS濃度の経時変化を示す。潜堤外の海底付近で観測された高濃度SSの鋭いピークは潜堤内では観測されず、濃度も約13となっており、潜堤の高濃度浮泥層の遮へい効果が確認された。また、平成3年9月台風19号時の潜堤上でのSS濃度の観測値より瀞堤上の断面通過量を推定した、台風19号は12号と比較して非常に勢力が強く、潜堤上においてSS濃度が10,000mg/1以上と12号より1オーダー高い濃度が観測されたが、1潮汐の断面通過量でみると航路上を通過して潜場外へ流出していることが推測された。巻き上げられた底泥が沈降して生ずる高濃度浮泥層をせき止め効果を併せて考慮すると、潜堤の埋没防止効果か確認された。

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図−12 台風12号時のSS濃度の経時変化

Fig-12. Time-course change in SS concentration at typhoon No.12

5. 高濃度室気圧送工法
5−1. 高濃度室気圧送工法の開発
熊本港における浚渫・埋立にあたっては、以下に示す熊本港固有の諸条件を考慮する必要がある。
・わが国有数の海苔漁場であるため、浚渫および埋立地からの余水によるにごりに配慮する必要がある
・浚渫計画土量に対し処分場の受入容量に余裕が少ない
・理立地の早期供用が望まれる社会条件が整っている
・浚渫・埋立および付帯工事全体の経済性が要求される
そこで、低い含水比の状態のままで排送できる新たな工法の開発が必要となり、第四港湾建設局では昭和60年度よりスクリューフィーダー方式開発のための調査を開始し、昭和62、63年度に実験機による現地試験を実施し、実海域における実用性を確認した。今回、熊本港で実用化した高濃度空気圧送工法は、この実験機を大型化し、ゴミ除去装置や施工管理計器を付けるなど高度にシステム化し、圧送船として実用化したものである。
本工法の特徴は、浚渫上に加水することなく、浚渫上をそのまま高濃度の状態で排送できるため、1)上余水の発生がなく余水処理施設が不要なこと、2)浚渫上の体積変化が小さく塊立地の容量が小さくて済むこと、3)理立地の乾燥が早く早期利用が可能であることである。
5−2. 高濃度室気圧会工法の概要
図−13に高濃度空気圧送工法の施工方法の概要を示す。まず、グラブ船で浚渫した土秒を上運船で岸壁前面に係留した空気圧送台船まで運搬する。次に、台船上のバックホウでホッパー内に揚上し、この土砂を排送管を経由して空気の力で送泥するものである。
熊本港で実用化された空気圧送方式は基本的にはスクリューフィーダー方式(四建方式)とタンク方式に分類される。図−14にタンク方式の圧送システム概念図を示

 

 

 

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